E32易経を読む-30〔59〕風水渙・離散、離反を防ぐ〔60〕水沢節・節度を保つ

59〕風水渙(ふうすいかん)110.010 大いなる船出は離散・離反を防ぐ

渙は散る意味であり、帆を張り進む船を見て、衆人は外に向かって大いに飛躍する力強さを感じ、心を一つにして離散や離反をすることがありません。

民が離散離反することを最も恐れるのは支配者である王で、常に民の心が離れないように霊廟に祀り祈ります。

渙は水の上を帆が風を受けて走る象形です。風は外に向かって発展する力を表し、大事業がなされる力強さを感じさせます。民はその風景に国の安定を見て、心安らかに過ごすことができるのです。

現実はもはや船に乗せる野望も物品もないのですが、それでも毎日帆を上げて船を走らせる光景を民に見せることは重要でした。

豊かさを享受して満ち足りても、それを持続することは大変難しい事です。

満ちれば欠ける道理があり、四季のように季節も移り変わります。

国や家長の力の衰退は、民の離反や内政の分裂あるいは一家離散を招く脅威です。
王も宰相も家長も、賢人たちはそれぞれに守ることの重みをかみしめ、気を引き締めて適切な事業を行い、この危難を克服し目的を果たす努力をするのです。

 

60〕水沢節(すいたくせつ)010.011 規律や節度を保ち誘惑を退ける

節は節制・節操・節約・節度の意味で、それを守ることの大切さを説きます。

原理や原則に固執すれば行き詰まり、苦難を乗り越えられない時節です。

苦難苦節を乗り越えるためには、現状に逆らわず悦んで(沢)危難(水)を受け入れ、立場を守り中庸(節度)を守り、偏らず正しく事を行なうことが大切です。

苦節の時こそ誘惑に負けないよう、心の中に道徳心を芽生えさせることが求められ、一人一人の誠実な心から道徳的な発展が生まれると説いています。

物事を良く噛みしめ見極めて、旅人のように郷に入れば郷に従い、節度を保つことが、流浪の人生を食い止めるのです。

終息の勢いは止められなくても、皆が心正しく安らかにいれば、その速度は緩やかに訪れ、共感して静かに終息の時を迎えるでしょう。

そこで賢人は、日々の生活を規律正しくし、いかに過ごすべきかを話し合い、節制し節度を保つ努力をするのです。

 

〔解説〕

六十四卦の旅も終盤に近づいています。日が沈むのを止められないように、終息への勢いは止めようもなく、逆らうより悦んで受け入れることだと説きます。ただ日が沈む前に少しでも余力を残し、人々の混乱を防ぐことに努めることが重要です。

風水渙の卦は一見平和で発展の勢いがあり、民衆は日々の不安がなく安らかにみえます。

実際は船に人も荷も無くまた野望もなく、船がいつも通り進む姿は民への安心アピールでもあり、子供たちに心配をかけない親心なのです。

人々が不安におびえて混乱しないよう、賢人は吟味熟慮してやれることを選び、人々に苦難を強いることなく志を果たす努力をしてきました。

十分に与えられる時は、民衆は離反しませんが、苦しい時は不安から誘惑の声に打ち勝つことは難しいのは当然で、不安が限界に達すれば民は離反し、一家離散もありえます。
そうなれば国は亡び、家も亡びます。

苦節を共にするには、上下の深い共感と信頼が不可欠で、上は自ら率先して模範を示し、人々が誘惑に負けないよう丁寧に話し合い、一人一人の心に道徳心が芽生えるよう導きます。

苦しい時こそ心を一つに質素倹約し、節度を保って乗り越えることを水沢節の卦は説いています。

今隣国が大変心配されますが、体制批判を恐れるのは、まさに人々の状況が危機的であることを示すのではないでしょうか…

日没も季節の変化も止めようもなく、静かに受け入れて備えることが大切だと二つの卦が示します。

闇を越えれば又日は昇り、冬が過ぎれば温かな春が来るのです。夜の支度、冬の支度のために身も心も充実させる備えの時を示します。

賢明な指導者は、時期を読み正しく方向を読むことがとても重要だと改めて思いました。

 

 

 

 

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