F-9易の言葉 「観光」国の光を観る

易経20番の風地観110.000は物事の観方を説く卦です。王の卦ともいい、指導者の資質を説く卦でもあります。
人の上に立つ人に求められる大所高所から観ることを大観といいます。また同時に下から見上げるとどう見えるかという観点も大切で、これを仰観といい、上に立つものは範となるような行動を示すことが求められます。

古代から国を治める王や支配者が、国内を巡行視察することがよく行われていました。
公式に行列を作って巡行すれば、どの地域でも責任を担う人は汚いところを隠し良いところ、自慢できるところを見せようとするものです。
そこで隠密に調べるために間者が派遣されたり、暴れん坊将軍や水戸黄門のように身分を隠して真実を見極め、悪人を懲らしめるという痛快な物語も生まれました。

古代の王の巡行は、国の光・威勢を観るための視察が目的で、これが観光の語源です。
現代では観光は物見遊山のような娯楽的な響きがありますが、昔の巡行は相当の日月を費やした大事業だったのでしょう。
賢明な王は大観し仰観し、高所から表面の光を見るだけでなく、民の目線に立ち影を見ることで確かな国の光を見届けていたのだと思います。反対に暗愚な王は物言遊山の気分で仕立てられた威勢に満足し、民の苦難を見過ごして滅びを速めていったのでしょう。

影の濃さは光を際立たせるものです。光輝かせる影の深さを知ること、光を生む民の苦難を察して、民を思い天に祈りをささげる姿を示して、民の心を鎮め安らがせることが、観光のもたらす成果といえました。

中国では旧暦の正月・春節を迎え日本にも多くの旅行者が訪れているようです。「爆買い」だけでなく、素晴らしい哲学や言葉を生んだ国の誇りを忘れず、日本をより深く知るための観光をしていただけたらと思います。
私もその地の歴史や特産物の生まれた経緯などを知ることが旅の楽しみの一つですが、観光の語源を知って尚その思いが深くなりました。

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