C9 水無月 六月

水無月は旧暦六月の異称で、文字通りなら水の無い月ですが、現在の新暦六月は旧暦では五月に当たり各地で梅雨入りする季節です。そこで旧暦の水無月は現在の七月で酷暑の季節ですから水無月というのも納得できます。

他にも田に並々と水を張る季節という意味で水張り月というのが水月となり、ミナヅキと発音されて水無月という字を当てたという説があり、これもうなづけます。旧暦と新暦の季節のずれがありますので、現実には大雨が降ることの多い現代の六月は水無月より水月(ミズヅキ→ミナヅキ)説の方がぴったりするようにも思えます。

太陽が黄道上の最北点、北回帰線の真上を通過する夏至(6月21日)は、昼の時間が最も長くなる真夏の到来です。夏は黄金色に熟した麦の収穫期で、冷たいビール(麦酒)が定番です。秋は米の収穫期で、日本酒(米酒)は冬の熱燗が定番ということで、ビールは体を冷やす夏のお酒といえます。日本では宴会の始まりにビールで乾杯というのが多いですが、宴の終わりに冷たいビールを飲むと、酔いが少し冷めてシャキッ!とするように思うのは私だけでしょうか…

十二支では午の月、易の八卦は離=火、五行も火の陽で燃え上がる炎を示し、午(馬)は華やかに堂々と競い合う姿で、競馬界はダービーに燃え上がります。午に木は杵となり、草木の開花現象を表し、杵でつく祝い餅は一家のお祝い事である「内祝い」の象徴です。 十二支の北の極=子と南の極=午を結ぶ線を子午線といい、時刻は午が昼の12時で、午の前を「午前」、午の後を「午後」といい、夜中の0時に始まり0時に終わる一日の時間の中心です。

地球の南北を結び中央を通過する子午線に、一日の中心の時を示す午の刻。 午の中央・中心ということを人生に例えると、天に輝く太陽が頭上に降り注ぐ、華やかな成功と満たされた生活に到達した状況です。易経の「火天大有(101111)」は同じような状況を説く卦ですが、満つれば欠けるのが道理であり、日はやがて沈むことを知って慢心を戒めることも説いています。

とはいえ、六月は夏の陽の光を浴びて、まずは願いの成就に向かって元気に活動できると午月らしくてよいですね。

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