E1 易経の読み方 「十翼について」

易経には『十翼』と呼ばれる解説書が伝えられています。 翼という文字には「たすける」という意味がありますので、十翼は易経を理解するための十篇の解説書といえるものです。

十翼とは、繋辞伝(けいじでん)上下二篇、彖伝(たんでん)上下二篇、象伝上下二篇、文言伝、序卦伝、説卦伝、雑卦伝各一篇の計十篇をいいますが、易経を読む前に必ず読んでおきたいものは繋辞伝です。

易経の卦と各卦を構成する六つの爻についての解説書で、今風に言えばハウツー書というのでしょうか、卦の背景にある考え方や易の本質について弟子の質問に対して先生が応える師弟の問答形式で書かれています。

抽象的な比喩で表現していることの多い易経の言葉(卦爻辞)を、具体的な例を挙げて解説していますので、言葉や構成を理解するだけでも易経の読み方が見えてきます。 師の表現は情緒的ですが、易は人の道を説く道理であり、それ以上に自然学、数学であり、文明の源であることを納得させられます。

師とは孔子を想定しているようですが、繋辞伝の書かれた時代から、孔子の弟子や儒家的流れをくむ優れた文人たちが繋辞伝の創作に関わっていたのではないかと思われます。いずれにしても聖人であった孔子の作とすることに意義があったのでしょう。

『彖伝(たんでん)』は卦の名称や卦の形(象形)を述べた言葉(彖辞)の解説書で、『象伝(しょうでん)』は卦の道徳的で政治的なとらえ方を説く『大象』と、爻の関連を読み、爻の言葉(爻辞)を解説する『小象』に分かれます。 『文言伝』は乾(天)と坤(地)の二卦について詳細に書かれ、『序卦伝』は卦の配列について、『説卦伝』は卦の象形を総括的に説き、『雑卦伝』は卦を二つずつ一対にして対照的に解説しています。

他に占筮の実例集である『左伝』がありますが、易経を読むためには『繋辞伝』が最も役に立つと思います。 易経はあらゆる問題に応えを導く優れた道理の書ですが、解説書があるとはいえ、易経の本を買って読んでもよくわからない、難解で無理という人も多いのです。

そこで日常の指針として活用するために、私のお勧めは立体的に読むことです。

例えば漢文なんて読めない、難しい漢字や言葉がわからなくても、卦の象形と四つの卦の組み合わせが示す意味を大らかにとらえることは、おそらく誰にでもできると思います。
そこで次月あたりから、易経の立体的な読み方と名づけた私流の読み方で、「使える易経」をブログに連載してみようと思います。どんなものか関心がありましたら、ぜひご覧くださいますよう。

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