E2 易経は人生の物語

易経の言葉は短文が多く、比喩的な表現で書かれています。そのため読む人が想像力を働かせ、色々な状況を連想して読み解いていくことを可能にするものです。

その比喩の単純な表現の故にどの時代にもどんな思想下にも活用され、何千年も読み継がれてきたのですが、半面古代の比喩をどう解釈し、どう実生活に応用すべきことなのか、現代人には発想しにくい面があります。

豊かな発想を掘り起こすために、漢文も易も馴染のない人、例えば子供たちに易経の知恵を伝えられるのか…そんな読み方を考え続けました。

易経は実生活のあらゆる立場の人、あらゆる年代に応じており、悦びと幸せに満たされる時、また逆に辛く苦しい時、迷う時などの状況に応じて対処の道筋を示しています。

そして指し示す未来は、悦びも悲しみも必ず終わりがあることを教え、繁栄の時は慢心を戒め、苦しい時は希望となり、草木のごとく自然に生きることの意味を教え、一貫して生命を尊ぶ思想に溢れています。

私自身は、とても苦しい状況で易経などの易書を改めて読みましたが、その結果再起する勇気が生まれ、向かう方向が見えてきたと思っています。何より過去の誤りの原因に気付き、素直に認めることで現状を達観し、大らかな気持ちになることができました。そう私が思えた読み方なら易を知らない人にも勧められると思いました。

私の易経の読み方は、初めに四つの卦を物語のように読み、さらにセットになる次の四つの卦を同様に読み、判断材料としてそこに広がるドラマをつなげていくことでした。

詳細な一つ一つの卦や爻の意味を知りたいと思えば、その後でじっくり読めばよいのです。始めから順番にまた詳細に読むよりずっと楽に理解できて、日常に生かすことができました。

四つの卦をセットで読む方法は、変化する易の法則にも合致しています。

私の勉強会では「易経を立体的に読む」と題して、始めて易経を読む際の学習法としています。

その後に「繋辞伝」、「易経の詳解」と進みますが、四卦で読む方法は、同じ卦が繰り返し登場するので、自然に難解に思える易の卦の言葉になじみます。

日常の出来事を「私は来週天山遯します…」などと、易の卦で表現するようにもなり、同じ知識を共有する仲間の隠語のようになりつつあるのも喜びです。易の言葉がもう少し一般的に浸透すれば…という夢を持って、立体的な易経の読み方をダイジェストして連載いたします。

諸先生の訳文を参考に時代観や自然学の見方を加味しています。大らかに易経の物語を、楽しんで読んでいただければ嬉しく思います。

易経は〔1天〕〔2地〕に始まり、〔63水火既済〕で終息し、〔64火水未済〕でまた始まる万物生命の無限の循環を、人間の問題に置いて書かれています。

天と地は万物を創生する働きで、他の卦とは別格ですが、易の細かな法則にこだわらず、大らかに意味をつかみ、生命である人の生き方や、未来の道標を探るために判断の一助となれば幸いです。

 

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