E3易経を読む ①「天と地の働き」

〔四つの卦〕陽爻は1、陰爻は0

本卦…易経の順番に沿います。卦の意味を判断の指針とします。1〕2〕と表現。
互卦…本卦の上下を除く中爻で表す卦。本卦の本質や注意点、吉凶の暗示など。
錯卦…本卦の爻の陰陽を逆転させた卦。対極にある卦で因果関係や対照を見る。
綜卦…本卦を天地逆転(180度)させた卦。天地自然の示す道理、他から見える状況などを見る(
易経は大体順に二卦の綜卦の並び順になっています)

四つの卦を同時に読むとは、本卦の意味を捉え、その内部をのぞき、天地を返し、さらに裏返してみるようなものなので、「立体的に読む易経」と名付けました。

始めにある〔題〕は二つの卦が示す大きな意味で、判断の指針となるものです。

 

〔天は万物を創生し地は万物を包容し育む。満つれば欠け、欠ければ満つる天地・陰陽の道〕

〔1〕乾(けん)為天(いてん) 111111(天上・天下) (発展と分化の働き)

偉大な天の働きを乾といい、万物を生み出す創造の力、生命の根元を示します。万物を生む「天」の働きは全てが陽(1)、伸展と発展の象徴、繁栄の極みで、最も勢いのある状態です。しかし満つれば欠けるのが自然の道理で、衰退の兆しとみることが大切。天のやむことのない健やかな働きに感謝し、賢人は自らを戒め、やむことのない努力を続けるのです。

(互卦)〔1〕乾為天111111

天に輝く太陽もやがて沈み暗い夜を迎える。発展は草木の枝葉が繁茂し分化することで、繁栄が極まると末端は分けの分からない状況になる。輝く繁栄の時ほど他を慈しみ、驕らず慢心せず根幹を守らないと、厳しい衰退の時が訪れる。勢いがある時にこそ、この戒めを忘れず心を磨き正しい分別をもち行動しよう。

(錯卦)〔2〕坤為地000000

天の対照に地がある。反対だが、男と女、父と母のように生命の誕生には不可欠な互いの存在がある。天は地にエネルギーを送り、地は天の力を受けて生命を生み育て、慈しみ、包容する。昼と夜があり季節に寒暖があるように、影により光は輝きを増す。天が苦しみと闇の時を与えても、静かに耐え続ける柔順な地の働きを忘れてはならない。

(綜卦)〔1〕乾為天111111

天は地から見ても天であり絶対的な創造の力である。「天行健なり」で天真爛漫・積極果敢・恐れを知らぬ勢いがあるが、逆に自信過剰に慢心しやすく、防衛心に欠けて誤りやすい。例え屈しても日はまた昇ることを忘れず、傷つき悔いても内面を健やかに保ち、堂々と正道を歩むことが天の道である。

〔2〕坤(こん)為地(いち) 000000(地上地下) (包容し統一する働き)

「徳を厚くして物を載す」、あらゆるものを包容する母なる大地を表します。
陰(0)のみの地は動かざるものの象徴で受身の存在ですが、天に従い包容する無限の力は、広大な天に劣らない深い徳性をもちます。
天の働きを受けて生命を育む地の働きは、「陰極まれば陽生じる自然の道理」。
限界まで胎内に子を育む慈愛と難行の母性に似て、賢人は困難に耐えて、寛容の心を磨き続けます。

(互卦)〔2〕坤為地000000

包容と豊かな慈悲の力を秘めて、我慢忍耐、隠忍自重の時を示す。闇はますます深まり夜明けは程遠いが、やがて必ず日は昇る。逆らわず守りに徹して時を待つことだ。無理をすれば命に限りがあるように、繁栄が終息し生命の終わりを迎えることを念頭に置く。

(錯卦)〔1〕乾為天111111

地の反対に天があり、天地は相互に相待って万物を創生する。困難と忍耐の中にも希望に満ちた未来を描く人がおり、寛容と慈愛に満ちた地の働きは、窮すれば通ずる強い生命力を秘めている。天は地と共にあることを忘れずに。

(綜卦)〔2〕坤為地000000

地は天から見ても地であり、地の道はその働きを全うすることが自然の道に則っている。自ら発展に向かい動く力はないが、天から送られるエネルギーを受けて新たな生命を生み育てる。地の道はその使命、働きを全うすることなのだ。

 

☆1〕2〕は天地の働きを説く易経の始まりです。数学的な易の三角形ではこの天地は最後まで純粋な陽111111と陰000000を保ち続けます。

そして限りない陽、限りない陰の父母が生み出す子供たち(陰陽混在する卦)の物語がここから始まります。

☆次回は生みの苦しみ、啓蒙…学ぶことの意味について

困難な状況で何かを始める時、また出産を控えた人や子育て中の方には役立ちますよ。

易のことば 2

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