E5 易経を読むー3 〔5〕需要と要求 〔6〕矛盾と訴訟

〔5〕水天需010111 待望して得る喜び=需要
需はもとめ待つ意みで、需要です。 小さな子供も成長するとさまざまな要求をするようになります。
下卦の天は全て陽で、豊かな生命力は育ちざかりの児童少年時代に例えます。
食欲旺盛な子供時代は大いに食べさせなさい、制限ばかりすると表面は従っても裏に貪欲な性質が育ちます。反対に上卦の水は危険が前にあるから時を待ち辛抱して待つことの戒めです。
「儒」はその時が来るまでじっと待つこと、時が来たら存分に要求に応えることが人を伸ばしていくために大切です。本当に欲しいものは辛抱して待てば喜びが来ることを「儒」の卦は教えます。
きっとくると思えばその時を楽しみに待てるのですね。
賢人は日が昇る時が来るまで泰然として待つのです。

互卦101011火沢暌〔38〕注意すべきこと
暌はそむくこと。下卦少女(小姑・妹)・上卦中女(兄嫁)で二女同居の卦。女同士が陰湿にいがみ合い反目しあう状況。内部に揉め事が起こることを警告します。そんなときは大きなことをやってはいけない。
矛盾した状況でも小さなことをコツコツやればやがて同じ利害目的で認め合えるようになる。

錯卦101000火地晋〔35〕結果・因果関係
晋はすすむこと進展です。上卦が火、地上に太陽が昇り希望にあふれる卦。柔順な態度で努めると頭上に光指すことを示し、万事順調で働くほどに認められ、苦しんだ人も上昇していく機運。おおらかに自信を持って進める状況がくる。

綜卦111010 天水訟〔6〕喪失や矛盾は争いを生む
天から見れば正しく儒(求め)に応じることは、ゆったりと大らかな心を育てる。心に葛藤や矛盾が生じることは、奪いあう心を育て、争いを生む。そして本当に望むものが遠ざかる。

〔6〕天水訟111010 矛盾と妨害に葛藤し争いを生む 

誠実な心でいても他人に妨害されて理不尽な扱いを受ければやむを得ず争う状態になります。
しかしどんな時も折り合う道を模索すること、また時を待つことも大切。
配分や役割などの不平等も不満が大きくなれば訴訟にも発展します。
最後まで争えばよいことはありません。たとえ勝っても争いで得た勝利は長続きしないでしょう。
公平な仲裁者に委ねるなど、賢明な対処を説きます。
賢人は争いが起こらぬよう事の始めから対処するのです。

互卦110101 風火家人〔37〕心がけるべきこと
家人は家庭の人。とりわけ家族の中心である主婦の働きを示し、上の長女に中女が従っているために円満で丸く収まる、いわば良妻賢母の象形。
各々が自分の役割を知り共に苦労をして、心を通じ合い親しむ温かな家族の情景でもあります。妨害や矛盾を怒り争うことで平安は来ない。
苦しい時こそ家人の支えが大切で、また守る者があれば破滅的な行動を抑えられる。

錯卦000101 地火明夷36 結果・因果関係
夷はやぶれる意味で、火が下に落ちる、賢明なものが傷つき害される卦。
太陽が地の下に没した暗黒を表す。明徳を敢えて愚か者の顔に隠して着々と内面の充実を図ると良い。苦難の中で磨かれた実力はやがて輝く時がくるだろう。

綜卦010111 水天需〔5〕天から見れば
本当に必要なもの、欲しいものは容易に手に入らないものだ。望みを持ち静かに待つ心境で、雨が降り潤す時を信じて待つ。自己中心な欲望や要求は、争いの火種となるだろう。

☆「水天儒」と「天水訟」の卦は、子供が成長していろいろ要求するようになる時の与え方に例えます。 食べ盛りの子供に、常に制限をつけると、隠れて食べる、他人の物を取る、嘘をつくなど内面に姑息な心が芽生えます。
待つことは喜びを得ることと、子供の時期に体感させること…
そのために与えられる時は惜しみなく与えることが大切と説きます。愛情も食事も与える時は存分に、そして苦しい時は家族が支え合いしのぶように、信じ合う心を育てることが根底にあります。
子供のころに待つことで喜びを得る体験や習慣はとても大切です。
逆にむやみやたらに与えすぎることは本当の欲しいものを見えなくもします。

社会は正しく秩序を守っていても、不公平や制約を受けることがあります。
人を妬み羨み他人の物を欲しがることも同様で、それらはみな争いの火種となります。

秩序=歯磨きを厳しく言い、矛盾=かつ虫歯になるから甘いおやつは禁止!となると、子供は他家で甘いおやつをむさぼり、隠れて食べるようにならないでしょうか?
週に一度の休日のように必ず訪れる喜びがあれば、次の休みを楽しみに待ち、この秩序を信じる心が育つのだということもあります。

社会の道理としてもそうですね。

需要は待望しても得たい求めであり、真に求めるものを供給することで、日が昇るような発展があります。あり余る供給は感謝を忘れ、また不平等なら奪い合い争って衰退します。
日が昇る喜びを経験すると今は暗闇でも信じて支え合い辛抱して朝日を待てるでしょう。

需要と供給の在り方を教えられ、矛盾は争いの火種となることもわかります。でも社会は矛盾に満ちているものです。
そのような中でも支えあい信じあえる人(家人・仲間)がいれば辛抱もでき、また共に朝日を見る時が来るのですね。

次回は〔7〕地水師〔8〕水地比…同志が集まり次第に集団化するように、成長した子供は次第にグループを作ります。集団になると優劣や利害を比較して、徐々に派閥が出来上がってきます。人は集団になると派閥をつくるというお話です。

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