〔23〕山地剝(さんちはく)100000 衰兆を察して危難に備える。退き際を知る
剝は、剥ぐ(はぐ)、剥ぎ落とすこと。陰気が上昇して陽の力が限界に達しています。今になって発展を望んでもどうにもならず、退き時を測り大難にならないよう対処することが大切と教えます。
季節は収穫を終えた晩秋の頃、新たな種をまく時期ではありません。
剝のいう衰兆とは、組織的には秘かに失脚を画策され、身体的には秘かに重い病が進行し、金銭的には楽観的に散財し有事の備えができていない状況です。
卦象は上卦の山が浸食されている状況で、まだ表面的には一陽が食い止めていますが、遅からず最後の一葉が落ちて冬が訪れます。
このような状況は収穫後の季節のように一見一段落したのどかなムードがありますが、今後は新たな実りは望めず、蔵の中の収穫が冬を越すための全ての財産です。
人も好調な時の努力は繁栄を導き、多くの実りや収穫を獲得して終息に向かえば、十分な備えがあるので寒い冬も暖かく、安らぎと休息をもたらします。
それでも冬は予期せぬ災難が降りかかることが多く、有事に備えるさらなる余力が大切です。
余力とはあなたの人生の蔵の中身、お金など財産だけでなく良い人間関係・家族円満・健康などでしょう。
季節の晩秋は一見豊かで、危機感も少なく冬支度にもまだ焦らないのが現実です。
互卦の坤為地000000は保存と包容、育成に吉で、発展的な行動の扉は閉じられます。そこで内面を磨き、心を育てよというのですが、天地重合するときでもあり、陰陽男女が睦みあい、子宝(春の芽)を授かる意味もあります。
賢人は衰兆を察して下が少しでも楽になるよう速やかに配慮して、地位を守るとあります。そうできるなら天地和合して共に耐えて春を待てるのですが…
現代なら厳しい冬を乗り越えるために何をするか…今ある物を吟味して十分な蓄積をし、あるいは若い力を育成し託して退く時に備え、体の不調を放置せず、人や家族に絡む諸問題に決着し、あらゆる気がかりに対処しておく…そして静かに時期(春季)を待てば、また陽気が復活すると錯卦の地雷復000001が教えます。
全ては巡りの中でおきる終息の結果です。究極、無一文で仕事もないなどの惨状であるとしたら、相当の覚悟をして、守るものは「命」そのものでしょう。今日を招いた原因を考え、他を恨まず、潔くSOSを発信し、助ける手があれば感謝して握り、何としても命を守るのです。
そして誤りをリセットして初心に戻り、新たな希望の芽を育む心に切り替えることです。
良い事に日本には八百万の神々がおり「捨てる神あれば拾う神もあり」なのです。
〔24〕地雷復(ちらいふく)000001一陽来復、原点回帰、育成の時
復は復活を意味し、破壊の後の復興や新たな建設が始まるなど、土の中で春の芽=吉兆(雷)が育っている様です。季節は冬至を示し、天地の創造する易は地雷復に始まります。山地剝の一陽(落ちた実の種)が、次世代の生命として復活しますので「一陽来復」です。
行き詰まりや苦しみを抱えた心に一筋の光明が差し、新たな希望が生まれます。でもまだ冬の真中にあり、焦って外に出れば枯れてしまいます。機を見て元気に発動するために、計画を立て、学びや修養に励み、準備に励み力を蓄えておく時期です。互卦も坤為地000000で、まだ発展の扉は開いていません。
古代、君子は冬至の日には斎戒沐浴して身を清め、遊びや俗事に関わらず、欲望を慎んで安静を保ち、陰陽の定まるのを待ったとあり、冬至は初心に返り、正しい道に戻り、原点回帰するための厳粛な日だったのですね。
そこで地雷復は厳しさや困難に耐えて、内面を鍛え磨き、強い体質を育成する好機で、新たな計画を始動し達成へ導くために、強い種子を育てることが大切です。
社会的には、志を受け継ぐ若い力が台頭して復活の希望が生まれます。復縁や仲直り、失くし物発見などに吉とされるのも吉兆を示しています。
次世代の希望となる土の中の種子は、やがて春に地上に芽を吹き、すくすくと枝葉を伸ばして開花の夏を迎えます。
また人は困難を乗り越えて新たな希望を育み、それを実現するために果敢に行動し、努力して夢を叶えます。
行動力や成長力がみなぎる春を過ぎ、夏を迎えて目標の成就する開花の時を錯卦・天風姤111110が示しますが、下に陰気が宿り、熟成に向かい新たな苦労が始まります。
成功の後は慢心や油断が生まれやすく、自ら滅びのきっかけをつくることも多いのです。
衰退や生みの苦しみを経験したことを忘れず、初心の志を保ち、同じ過ちを繰り返さないことが大切です。毎年の冬至の日に身を清め、原点へ返ることを戒めた古代の賢人は、人は常に慢心や油断をしやすいことを知っていたのでしょう。
〔解説〕
春夏秋冬、季節は巡り、春が来れば冬の寒さを忘れるものです。
花が咲き秋に実りを収穫して、また余力のない冬を過ごさないために、成果を蓄積することの大切さを説く山地剝。
また厳しい状況にあっても志を立て、希望を育くんで静かに復活する力強さを説く地雷復。
この二つの卦は、終わりと始まりを説いています。
終わり良ければ全て良しといいますが、一日の終わり、一ヵ月の終わり、一年の終わり、そして十年、二十年…六十年…と繰り返す人生の節目の終わり方は、また新たな次の始まりに通じています。
大みそかに終わり、元旦に始まる一年の節目を過ぎましたがまだ間に合う正月のうち。一年をどう過ごすか、改めて目標をもち、きちんと計画を立てなくてはいけないなと思います。