F-13易の言葉  事業とは?

易経の解説書である繋辞上伝(けいじじょうでん)の最後に、「…これを事業という…」という一文があります。

一般的に「事業」は仕事を差しますが、特に社会的意義のある大きな仕事を差しているように思います。

繋辞上伝では、事業について下記のように説いています。

〔目に見えないが実在である道は、形となって目に見える現象に表れ、その現象が相互に作用して変化し、変化することにより発展する。このように発展的に通じる道をもって、民を導くことを「事業」という…聖人はこの道理により人々の活動を円滑にし、万民を発展へと導くが、それと意識もさせず、自然に変化に順応していくことで成就へ導くのが聖人の徳である。〕

事業とは、社会的意義があるのが当然で、人々が円滑に活動できて、さらに発展へ導かれるものであること。そして従事する人々が自然に順応しているだけで発展に導かれる。このように成就させるのが事業を行う人の徳であり、その事業はさらに素晴らしく発展するという意味に捉えました。

易経に吉凶悔吝という行いの結果を示す明快な基準があり、吉凶も易から生まれた言葉ですが、例え過ちを犯しても気づき「悔い」改めれば吉へ転じ、吝となると凶への道をたどるしかありません。

「吝嗇・りんしょく」はこの「吝」を用いた言葉で、自分のお金はひどく物惜しみするケチのことを指し、易の説く吝の行いの結果は明白に凶となります。

世の中の事業家といわれる方の中には、正当な対価である給料さえ、損をしたように思う方もいるようですし、まして税金で賄う事業は人々の発展と幸福のために行ってほしいものです。

 

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