『消えたシュメール王朝と古代日本の謎』(岩田明著・学習研究社発行)をご紹介します。東洋の古代史に関心を深め、様々な書物を読んでいたころ出会った本です。それ以前に最古の文字といわれる中国・殷の象形文字(甲骨文字)より古い時代に、楔形文字があり、その発祥がシュメール文明にあるという知識がありました。紀元前七千年~三千年の間繁栄したシュメール文明は、数々の遺跡や遺物が発見発掘されて、実在が確認されていますが、シュメール人の多くは王朝が滅んだ後、忽然と消息を絶った謎の民族でもあります。シュメール人はメソポタミアの先住民ではなく、中央アジア、現在のチベット北側の崑崙(こんろん)山系の高地に住むクメル族であり、その民を統括していたスメル族がルーツです。そのスメル族の「スメル七賢人」が船でメソポタミアに渡り、農業・造船・医学などの高度な知識を先住民に教え、シュメール文明の基礎を作ったという、シュメール文字の解読による創世記伝説が残されています。
スメルは「尊い人」という意味で、日本の天皇・皇尊も「スメラミコト」と読むことも興味深いですね。ちなみにシュメール王朝の遺跡に残る王家の紋は十六弁菊花紋です。
岩田明氏は三井造船の航海士という経歴を持ち、各国を回り、世界中で文化や生活習慣に日本人と類似する人々を見て、探求するうちにシュメール文明に至ったそうです。そしてシュメール文明にある文字・言語・様々な風習・風俗・地名などに古代日本との類似点を発見し、深く探究して著したのが冒頭の書です。