B17 陽のはたらきについてー1

陽は進化発展を促す力という捉え方があります。そして人が進化発展するための原動力は「欲望」です。欲っすることで人は行動を起こし、行動することで進化していきます。欲求が進化して発展していくことは、一つの細胞が分裂して増殖するように分化していく現象です。植物の生長を見ると、進化し発展していくことは分化の現象であることがよくわかります。
一粒の種が地下で育まれ、やがて発芽の季節を迎えて地上に芽を出します。小さな芽は双葉になり、茎がすくすくと伸びて枝を伸ばし、その枝からいくつもの葉が芽をだします。さらに枝葉の間に可愛い花芽が宿り、蕾となり、太陽と空気と雨を栄養にして成長した草木はやがて開花の時を迎え小さな芽の正体を堂々と披露します。
このように植物の進化発展を促すのは「陽」の力、創造のはたらきによるものです。
欲求し進化するための草木の行動は、生きるために根や枝葉から栄養を吸収することといえます。動物の赤ちゃんは生まれるとすぐに母親の乳を求め鳴き声を上げ、目も見えず教えもしないのにたくましく乳を吸いますが、これも本能的に生きるための進化の行動の始まりです。
本能的な欲求に始まり、成長と共にさまざまな能力が進化し、知性を吸収し、心身を発展させてやがて立派な成人になります。親から自立することは、草木の開花と同じで、易は離=火を開花現象としていますが、親から離れ自立することは文字通り「離」の現象です。
易の説く陽のはたらきの原動力は様々な「欲求」であるということで、元気を失くし、欲求を失くすと、生命力はどんどん衰えていきます。欲求の始まりである食欲を失くし、食べられなくなると生の世界と決別する時がくるのですね。
しかし陽のはたらきが極まるとどうなるかというと、それは発展し分化が進み、分けが分からなくなって動きが停滞し自滅する組織のように、生命も滅んでしまいます。そこで果てしない欲望を抑える「分別」が大切となります。陽を抑制し生命の寿命を全うさせて、さらに次世代へつなげるために陰の働きがあります。分化の反対にある統一のはたらきです。陰は要所要所で省きを促します。
食欲旺盛は元気な生命力の証ですが、過ぎればどうなるか…そこに陰の省きの力・分別がはたらいて健康が保たれます。
分別を別の言葉でいえば「ほどほど・良い加減」ということになりますね。(次回。陰のはたらきについて)

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