B18 陰のはたらきについてー1

陽のはたらきは欲求を原動力に発展し、分化を促進します。健全な欲望は元気な生命力を示しますが、過ぎればどうなるか…そこに陰のはたらきである省く力、分別を必要とします。分化の反対にある統一へ向かう陰のはたらきは省きの力で、自然界の淘汰の現象が同じです。
草木を例にとれば、一粒の種を地中で育むのは陰のはたらきです。丁度母の胎内で育つ胎児と似ています。
しかし生命の種は成長する過程で様々な省きや淘汰を経験することになります。まず始めに全ての種が生命として地上に誕生できないという淘汰があります。存在も知られず省かれる命です。
一時「ど根性大根」がニュースになりましたが、アスファルトのすき間に生まれた大根の、たくましくも強い生命力に皆が感動したのですね。
通常でもめでたく発芽した後に間引かれる若葉があり、元気に伸びれば枝葉は風通し良く剪定され、良い花を咲かせるために花芽を摘まれ、また他の生き物に食されることもあります。開花した後花は枯れ、花芽には可愛い実が結実します。実は人や鳥を始め多くの動物を養う自然の宝物ですが、ここで果断という厳しい省きが待っています。桃の花芽には三つの実が成るそうですが、桃農家は甘く良い桃を育てるために、やむなく二つの実を切るのだそうです。
文字通り「実を切る=果断」はとてもつらいことなのですが、人にも「身を切る思い」というつらい状況があります。永田町の方々は身を切る思いで定数削減を約束されましたが、これも果断で、やはりいざとなるとなかなかできないのでしょう。これらの省きは未来に続く次世代を滅ぼさないための厳しい淘汰であり、みな陰のはたらきです。
草木の熟した実は多くの他の命を養うために、その命を提供しますが、鳥や動物たちは食べた後の種を地に落として、次世代の子を還元します。季節が変わり残った実も熟し切って落下し、地中に次世代の命を残すことも同様です。
葉も実も落ちることで、成長と進化のために栄養を送り続けて枯渇が進む地中の根の養分となります。ここで草木の一年が終わる…ようにみえます。しかし沢山の次世代の命=種が地に還元されています。
易が説く無限の循環とは、一粒の種がやがて森を創るような生命の循環と同じです。自然淘汰は健全な生命の循環には不可欠で、地球の天変地異も生命活動の証である淘汰の現象です。人も様々に淘汰されるのですから、せめて戦争などの人為的な淘汰は無くなってほしいものです。大化の改新以来、国のお役所は「○○省」です。省庁は本来国民の久しい繁栄のために「欲求や無理無駄を省く」役割がありますので、せめて省きが偏らず健全公平に成されなくては「省庁」とはいえませんね。(次回 陰陽の相対的なはたらき)

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