C10 文月 七月

七夕月、常夏月ともいわれる新暦の文月・七月は、旧暦では六月ですが、旧暦の七月の異称が文月ですので、季節は現在の八月の気候です。牽牛と織姫の七夕伝説から各地で七夕祭りが行われていますが、七夕は中国から伝わった行事で、日本の風習ではなかったといわれます。

そこで文月の由来ですが、万葉集に七月をふみづきと詠んだ句があり、ふみつき→文月となったという説と、稲の穂が含む月「穂含月・ほふみつき」「含月・ふくみつき」から「ふみつき・文月」となったという説があります。 七月の十二支は未、易の八卦は坤=地の夏の土用を示します。易の六十四卦でいえば天山遯(てんざんとん)にマッチします。

遯という文字から連想するのは隠遁・遁走・遯面(とんずら)です。未は曖昧・蒙昧などの文字にもあり、はっきりしない、道理に暗い、また遯は現状から逃げる、現場を離れる、深入りしないなどの無責任なイメージがあります。しかし、天山遯は大変奥の深い卦で、社会が道理から外れている蒙昧期や、人間関係や仕事の倦怠期をやり過ごし乗り切る、賢者の知恵でもあるのです。

蒙昧な社会や統治者に道理を説いたところで迫害され敵視されるだけなので、関わらず一時逃れるところから賢者の知恵というのですが、昔のように山深くに隠遁生活はできないまでも、避暑に行く、一人旅をするなども「遯」の実践です。もっと簡単なのは昼寝です。蒸し暑い日差しを避けて木陰で涼むのも小さな遯です。この一時の遯の実践により生命力がよみがえり、打開するための明暗も浮かびます。

日曜日を安息日としたのも、いわば遯の実践で、自然に取り入れてきたのですね。馬車馬のように働くことも、一生懸命休みも取らず働くのも、心身を壊したり、意欲を長続きさせるのも限度があります。
とことん嫌になる前に少し遯をするだけで現状を見直すことはよくあることです。

ということで、猛暑の夏を乗り切るために、賢く大らかに、小さな「遯」を日常に取り入れ、ゆったりと過ごす時間を持ってみませんか。

(ブログの更新ができず、七月・文月が遅れてしまい申し訳ありません)

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