E7易経を読むー5 目標を実現するために 〔9〕風天小畜 〔10〕天沢履 

〔9〕風天小畜(ふうてんしょうちく)110111 柔、剛を制す。実力養成

畜は蓄え養う力で、小畜は蓄積が少なく留める力が弱いこと。溢れる発展の意欲(陽気)がありますが、経験や実力に欠ける少年時代に例えます。力もなく勢いだけで虎の檻(危険)に飛び込めば食われてしまうでしょう。

そこで柔軟で吸収力の高い少年時代こそ、内面の徳(陰の力)を養うことが大切と説きます。力が弱い者が強い者を留めるには力の勝負ではなく、陰徳で向かうしかない。その陰徳とは、まず学問を治め社会の秩序や先人を敬う礼などの知識を養うことで、短気に走ると失敗するという教えです。でも実行しなくては道は開かず、そのジレンマに苦悩する状況を切り開くときの手引きとなる卦です。賢人はその状況をみてその文徳(秩序や礼儀や学問知識など)を磨くのです。

互卦:火沢暌(かたく・けい)101011 注意点・内実が整っていない
暌はそむくこと。一軒の家で女同士がいがみ合う様で、内部や内面にいざこざが生じていること。そんな矛盾した状況では大事に挑めません。日々コツコツと積み重ねる中で、矛盾は解決していく。反目する二女性も外敵に対しては家を守る共通意識で立ち向かうので、徐々に調和して収まっていくという例え。

錯卦:雷地豫(らいち・よ)001000 結果・やがて発展の機が来る
豫は与える、楽しむで、半面怠る、あらかじめという意味もある。
ようやく動ける時が来る(春の発芽)。蓄積したエネルギーを大いに発散して伸びていくとよい。心に余裕も生まれ楽しみも多いが、油断すると思わぬ失敗も招く。あらかじめ予期して警戒を怠らないことだ。

綜卦:天沢履(てんたく・り)111011 虎の尾を踏むが…
果敢に虎の檻に飛び込むが、うっかり尾を踏んでしまう。しかし食われることはないだろう。なぜなら虎を敬い礼を尽くしていることを虎は知っている。志は遂げられるだろう。

 

10〕天沢履(てんたくり)111011 虎の尾を踏むも食われず。実現の道

履は履行する、履く、踏むなどの意味があり、履行することから、志を実行し、実践する状況を説く「実行の法則」です。「虎の尾を踏むも食われず」とあり、虎はさまざまな危険の象徴です。志を遂げるには、危険を恐れては実現できません。うっかり虎の尾を踏むような危険の中で、どう行動すれば食われずにすむのか…。

履は力のある天に沢が柔順に従う象形です。目上や経験者などの先人を敬い、素直に教えに従い、失敗から教訓を得る姿勢があれば、食われるどころか逆に守られるでしょう。賢人は上下の立場を守り、礼儀正しく、秩序を守るのです。(君子は上下の位を明確にし礼儀を定め、秩序を正しくして治める)

 互卦:風火家人(ふうか・かじん)110101 家族に守られるような安心
家人は家庭の人家族のことで、特に主婦の働きを示す、良妻賢母の象形。
どんな困難な状況でも夫を支え、家族共に苦労を分け合い支えてゆく姿です。
心が通じ合う温かな家族のように、円満で丸く収まるだろう。

錯卦:地山謙(ちざん・けん)000100 繁栄の後も謙虚で公平であれ
謙は謙虚、謙遜を表します。公平で功をひけらかさず、私欲や慢心もない。賢人は満つれば欠ける月を見て悟る。
そのような人なら、一層才能も光り存在も輝くだろう。豊かな時に他に奉仕できる人こそ余裕の人で、繁栄しても謙虚で公平な人は、その才能は輝きを増し、存在も光り、自ずと人も従うだろうと。

綜卦:風天小畜(ふうてん・しょうちく)110111 実力を養い実現する道を開く
実力もなく志を遂げるのは困難だ。危険を覚悟して進むためには、社会の秩序や礼儀を知り、様々な学問知識を養うことだ。実現のために短気を起こさず内面を磨き実力を養うことが大切だ。

解説
「風天小畜」は何かを実行する時の心構えを説き、その実現のために必要な力を養成することを説きます。「天沢履」は実力を養成し秩序を守って望めば、人の縁に守られて実現することができるという、「実行の法則」です。

特に若い時ほど力不足のまま大きな力に立ち向かおうとしますが、それは虎の檻に素手で飛び込むようなもの。しかし勇猛な虎は、礼と秩序を踏まえ、必要な知識を持って近づけば、逆に守ってくれる存在にもなります。
万一尾を踏んでしまっても、そのような失敗を教訓にして励めば許されるでしょう。という厳しい現実社会を虎に例えた話です。

夢や目標を本気で実現したいなら、まず必要な知識を修め、先輩目上への礼儀や、社会の秩序を守ることが大切で、その努力は厳しい現実を果敢に切り開いてゆくときの守りとなるでしょう。

夢や目標を描くのは簡単ですが、実現の道はとても厳しく、気持ちで頑張るだけでは難しいでしょう。

目標は自分との約束です。それを果敢に履行するため、必要な力を養う時間を惜しまず、社会の秩序や礼儀を学ぶことも、同時に大切です。そうしてこそ人の縁に恵まれ、人に必要とされ、いざという時の守りとなるでしょう。さらに実現の後も謙虚さを忘れないことで一層輝きを増して終わりを全うできるのです…というお話です。

 

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