同人会・同人誌など今では一般的に使われている「同人」は、易経13番目の「天火同人111.101」に由来する言葉です。
類は友を呼ぶは、似通った傾向をもつ者・同類は自ずと集うものだという諺ですが、同類は逆説的な悪い意味にも使われることがありますね。
本来は強い行動力に加え輝く知性と豊かな社会性をもつ人が、同じ志をもつ「同志」を求めて集うことを「同人」といいます。
大望を抱き同志を求める時は私的な縁故に頼らず、義理に流れず、安易な選択をしないことが大切で、始めは孤独で辛くても自力で社会的な人間関係を広げていけば、やがて良き友や同志を得るだろうと説きます。
同志を求め、類は友を呼び、同人が多数になれば社会的な勢力に成長していきます。そこで大望を抱く人物は聡明なリーダー、統率力のある指導者となって理想的な集団を築いていくという展開です。
同人の卦と因果関係にあるのが「地水師000.010」の卦で、まさに良き指導者に率いられた理想的な集団を示しています。
天はその行く末を「火天大有101.111」であるとして、輝く太陽が貴方たちの頭上を照らすだろうと、豊かに発展した情景を描きます。
同人から始まるストーリーは繁栄を極め、多くの民が安住する時が来るというのですが、通ずれば窮すのが易の道理で、平和の中にも内部にあれこれ比較して不満が生じ、優劣を競って派閥が誕生していく「水地比010.000」に展開して不穏な空気が漂います。派閥は志を離れて利害で結ばれ、同志を離反させ、対抗勢力の芽ともなっていきます。
何千年を経ても、例え聡明な有徳の人が率いても、人が集団となり繁栄し勢力をもつと同じ現象が繰り返されるのは、自然の摂理なのでしょう。
その繰り返しの中で少しずつ人は進化してきたはずですから、大望を抱く若者たちはあきらめずに、強い行動力と豊かな知性と社会性を発揮して、良き友良き同志を求めて次世代へ続く人々の安住を築くために頑張って欲しいと思います。