G-3史記の言葉  革命

禹王に始まる夏王朝の最後の桀(けつ)王を滅ぼしたのは、殷王朝の開祖湯(とう)王です。

桀王は暴虐無道の政治を行い人心を失っていたため、万民の苦難を取り除こうと、諸侯を率いて商の湯王が討伐に立ち上がりました。湯王は決起に当たり後に革命の論理ともいうべき宣言(湯誓)を発しました。

要約すると「諸人よ私の言葉を聞け。我が桀を討伐するのは断じて反乱ではない。桀の罪は甚だしいために汝らの声に応えて立つのだ。我は上帝(天帝)を恐れその御心に随う。夏氏(夏王朝の王)に罪はあまりに多くこれを正すことを天が我に命じたのだ。」

そして万民を苦しめている桀王のあらゆる罪状を述べてこう結ぶ。「夏の徳がこれほどまでに薄れた今、我は討伐に赴く。我と共に桀に天の罰を与えよ。我を信じよ。我は汝らに十分に報いるだろう。しかし我の誓言に従わなければ汝らとその一族は刑罰を免れないものと思え。」あらゆる罪状とは万民に苦しみを与えた諸々のことを言っています。

過去禹王までは表向き禅譲により王位を継承し、禹王から世襲による交代が行われていましたが、今から三千数百年前、湯王の誓言により論理的な権力交代の大儀が生まれたのです。

*地上を治める主君は天命により選ばれる→非道の主君は天に見放され資格を失う→ゆえにそれを討つのは天命を代行する行為である。

つまり「命(天命)を革(あらた)める」→「革命」の原点は湯王の誓言(湯誓)にあります。

「天罰を与えるために革命を遂行する人間は、武力により討伐をしてもかまわない」という大義が生まれ、以後何千年にもわたり王権や政権交代の大義名分となり正義となってきました。

易の沢火革011.101の卦も革命の論理を説きますが、そこには万人の願いに随い決行することが革命成功に不可欠であることが説かれています。

現代は多くの国が民主的な選挙という手段により政権を選択しています。天の命ではなく万人の命の表れといえますね。今は参院選の最中、多数の人の願いはどこにあるのでしょうか… 万民の一票には重い責任があります。

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